50代うすぼんやり生きています

50代のあれやこれや、管理人「凡子」が関わってきた今昔を綴っていきます

トリックオアトリート!! 30年前のハロウィンの話

10月になります。ハロウィンの季節です。
今日は、凡子とハロウィンの思い出を書いてみたいと思います。

それはかれこれ30年近くも前の頃、今でこそ知らない人はいない、日本の年中行事の一つに定着したハロウィンですが、当時の認知度は低く、ごく一部の人しか知らない、結構マニアックな行事だったと思います。

その頃、凡子は、某キャラクターグッズショップの店員。会社は、全店をあげてハロウィンを流行らそうと躍起となっていました。

その流行らそうという気持ちが走りすぎたのか、上層部から、10月31日は、
オレンジ色の衣装を着用して、店員みんなで仮装というかお化けメイクを施して、店頭に立つようにという通達が出されました。

トリックオアトリート!! 30年前のハロウィンの話

キャラクターグッズを中心に販売する、可愛いお店です。
お化けのメイクと言っても、ほっぺを紅くする、猫っぽいヒゲを描く、そんなところで上層部も納得なはずなのですが、諸先輩はなぜかハンパではないプロ意識を発揮し、描くメイクの怖いこと、怖いこと。

口は裂け、血糊は飛び散り、フランケンばりのステッチと、かなり奇怪でした。
買いに来た子供が、いつもと違う店員さんの様子にぎょっとする始末。

可愛いとかキュート路線を目指さなくちゃいけないのに、化け物じみている、おどろおどろしいなので、販売目的からは大幅に外れている気もするのですが、なにせ当時下っ端凡子(今も)、先輩方に何も言えるはずもありません。

凡子も同じようなメイクをしてもらい、店頭へ。コケシみたいな顔がインパクト大になったので、ある意味華やかと言えるかもしれません。

お店に立てば、そこは皆でお化けメイク。
ジャックランタンとか、ハロウィングッズに囲まれて、楽しいハロウィンワールドが広がります。

Trick or treat!! お菓子をくれないといたずらしちゃうぞ」

そんな掛け声が飛び交うにぎわいの中、高ぶった気持ちを抑える為、しばし店頭整理をするふりをして、ちょっとぼさっ~としてました。

バチンッッッ!!

顔に衝撃が走ります。咄嗟に何か起きたか、わからない凡子。

一瞬遅れて、痛烈な痛みが頬にやってきます。
突然のお客様からの平手打ち。痛恨の一撃を与えたお客様は、次の瞬間、さっと姿をくらまし、逃走を始めます。

たまたまそこを通りかかった店長が、それを目撃。

「何があった? お前何かお客様に失礼なことをしたんじゃないのか?」
ファンシーなお店にふさわしくない、店長のいつものドスの効いた声が、店内に響き渡ります。お店の可愛いコンセプトに真っ向勝負する、店長の声、容貌、加えて性格もかなりドスが効いています。

「あのお客を追いかけるぞ」と、店長。

「えーっと、あのう、ハロウィンメイク中でして。店長追いかけてきてくださいよー」完全に腰が引けてる凡子。

「ダメだ。俺は顔をよく見ていない。それに、失礼があったときに、謝るのはお前だ」

「いや、失礼どころか何もしてませんって。気に障ったとしたら、念入りすぎるこのメイクですって。絶対」という言葉を呑み込んで、店長に促されるまま外へ。

お店の中はハロウィン一色。けれど一歩外に出れば、そこは地方都市の商店街。ハロウィン色など微塵もない、ただ晩秋の夕暮れ。30年前のハロウィンの認知度は、限りなく低い。知っているとしても、ほぼ若年層のみ。

「さぁ、急げ。追いつかなくなるぞ」

体育会系を絵に描いた店長に追い立てられ、息を切らし必死の形相で走る女は、口が裂け、口からは血糊。

商店街を行き交う人たちの視線は、奇怪な女に釘付け。ああ、これがハロウィンメイクだと気づいてもらえたら。

ハロウィンメイクという前提がなければ、完全にイッてしまった人。

キュートメイクでハロウィンパレードを練り歩いて、注目を浴びるとは、全く逆のベクトル。結局お客様は見つからず、疲れ果て、おばけのメイクがより馴染んだ顔でご帰還。

後で明らかになったことですが、このお客様、この日商店街のあちこちで、店員に平手打ちを食らわせていたらしい。
原因は全く持って謎。
ハロウィンに舞い戻った悪霊のせいかもしれない。

30年前のハロウィンちゃ、こんなものでした。

Trick or treat!!

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