50代うすぼんやり生きています

50代のあれやこれや、管理人「凡子」が関わってきた今昔を綴っていきます

警備員は辛いよ。サラリーマンの悲哀シリーズ・ぬこ編

えっ~、サラリーマンの悲哀シリーズと銘打ちましたが、シリーズが定着するか、そのそもこのblogが果たして定着するかはいまだ未知数でございます。その辺ご理解いただきの上、読み進めていただければ幸いに存じます。

ストレス軽減の為、オフィス犬、オフィス猫を導入する会社も多くなったと聞きます。「企業ペット」の存在が、職場の士気を高め、癒しを促し、コミュニケーションを活性化し、生産性を向上するという。まさにいいことづくめ。

凡子の職場でも、かつてオフィス猫がいた時期がありました。

警備員は辛いよ。サラリーマンの悲哀シリーズ・ぬこ編

 

その猫が凡子のオフィスにやってきたのは、その年の初冬。名前を仮に、ぬこ太郎としておきます。社長の知り合いのやんごとなき、かつのっぴきならない理由により、ぬこ太郎はやってきました。

そう、お察しの通り、オフィス猫としての役割を担う為にやってきたのではなく、性格もオフィス猫には少々不向き。

ぬこ太郎がやってきたその日、移動用猫用キャリーからは不気味な唸り声が聞こえていました。

社内の男性陣の功労で、なんとかすったもんだの末、2階建てのどでかいペットケージに収められたぬこ太郎を見たときに第一印象は、
「なんて顔がでかい猫なんだろう」でした。

飼い主以外に全然慣れていないぬこ太郎、飼い主と引き離され、見知らぬところに連れてこられ、警戒心マックス。

う゛ぅ~~う゛ぅ~と、地の底から響き渡るような唸り声をあげています。

それから約二日間、全くオフィスには似つかわしくないその声がやむことはありませんでした。そう、ぬこ太郎は、かなり気性の荒い猫だったのです。

オフィスに来た当初は、全くフードにも手をつけなかったぬこ太郎ですが、空腹に負け、フードを食べるようになると、徐々に態度は軟化。威嚇する唸り声も徐々に間遠くなり、やがてケージのそばを通ったときに発せられる程度まで収まっていきました。

「飼い主はいない。ここでやっていくしかない」と認識したのかどうかはわかりませんが、唸り声にかわって猫本来の「にゃぁ」という声も、ときおり聞こえるように。

あれっ、声高くて、可愛いんだ。意外。

こうなっていくと俄然、可愛くなってくるので、人間ちゃ不思議なものです。
第一印象は、なんて顔がでかいだったのに、いつしか顔がでかくなきゃ猫じゃないと考えるまでになっていきます。げに、情というのは恐ろしいものでございます。

野性(ん?)を忘れたぬこ太郎はますます慣れ、いつしかケージから出され、オフィス内を我が物顔で闊歩。
ロッカーの上に登ったり、はたまた机の上を華麗にジャンプ。凡子のところにやってきては、ざらざらした舌で手を舐めてくれたり。

凡子はメロメロ、応接用ソファに爪でプスプス穴を開けるなんて、ささいなことと思えるようになっていきます。おお、まさにペットフレンドリーオフィス。

そんな頃、事件は起きます。

凡子のオフィスは、警備会社が入っていて、夜間は、セキュリティをかけて帰ります。猫も人感センサーに反応してしまうということで、オフィスを退出するときには、ぬこ太郎をケージに入れ、毛布2枚でケージを覆って、センサーに反応しないようにしていました。

その日もいつものように、そうやって帰りました。

ただこの日、ある人物がオフィスに残っていました。今は退社したこの方、ちょっと一癖あるお方です。

「ぬこ太郎と遊びたい」と思ったこの御仁、ぬこ太郎をケージから出してしまうという暴挙に出てしまうのです。

けれど誤算は、外周りの多かったこの人に、ぬこ太郎が全く慣れていなかったこと。慣れている他の社員もおらず、元来気性の荒いぬこ太郎は、野性を取り戻しす。その人に捕まるなんて、愚行をおかそうはずがありません。ぬこ太郎を甘く見ちゃいけません。

想像するに、猫との追いかけっこに疲れ果てたこの人、ぬこ太郎をケージに回収せず、こともあろうに、そのままオフィスに放置して帰ってしまったのでした。

もちろん、しっかりセキュリティを掛けて。

翌日出社して、この事件の顛末が明らかになります。
凡子が朝出社すると、ぬこ太郎は何事もなかったかもようにケージに収まっています。

カウンターの上には、1枚の警備報告書。
そして、お昼を食べるときに使用しているテーブルには、ジュラシクパーク並みの生々しい爪跡が、何箇所か残されていました。

この爪跡が物語るものは、一体何?

凡子は、一瞬にして理解します。
そう、セキュリティ会社の方が、夜間センサーに反応したものと対峙するため出動し、
ぬこ太郎と、壮絶な死闘を繰り広げ、辛くも勝利を収めたのだと。

そのとき凡子の心の中では、岩崎宏美の『聖母たちのララバイ』の歌声が、鳴り響きます。

「この都会(まち)は戦場だから~。男はみんな、傷を負った戦士。どうぞ心の痛みをぬぐって~、小さな子供の昔に帰って、熱い胸に、甘え~て♪」

警備会社の警備員さんの活躍によって、オフィスの平和は守られるのでございました。お勤め、ありがとうございます。

あっ、ちなみにぬこ太郎、それから3週間ほど後、無事飼い主さんの元に帰ってゆきました。

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