微炭酸好きにオススメ、『マンチェスター・バイ・ザ・シー』
どうも凡子です。すっごくご無沙汰、久~しぶりのブログ更新。あれっ、記事投稿ってどうすんだっけという状態。まずい。
で、近況はというと、お陰さまでつつがなく暮らしています。
最近、アマゾンプライムの年間プランに申し込んだので、年会費3900円の元を取らねばと、せっせとプライムビデオを観ています。
最近観たのは『マンチェスター・バイ・ザ・シー』。
ちょっこと感想のようなものを書いてみます。
主人公は、アメリカのボストン郊外で便利屋として働くリー。
穴倉のようなアパートの一室で、世捨て人のように暮らしています。全く覇気なく、すんげ~暗い顔で。管理するアパートの便利屋として、来る日も来る日も雪かきをしたり、ゴミを捨てたり、詰まったトイレを修理したり。
リーの影のようなものが女性を惹きつけるのか、女性に誘われることも多いのですが、女性なんか全く眼中にないという態度。女性というより、人との関わり全般を絶っているように見えます。
で、ときに、バーで目があっただけの知り合いでもない人たちに、「俺のことを話していただろ」と被害妄想から、因縁つけてぶん殴ったりと、攻撃性が暴走して。
心に何か大きな問題を抱えていることが、わかります。
そんなリーの元に、実兄の訃報が届き、リーは故郷のマンチェスターに戻ってきます。残されたのは、兄の息子で、甥のパトリック。そのパトリックの後見人に、兄が自分を指名していたことを、弁護士から聞かされて「聞いていない」と頭を抱えるリー。
兄の遺言は、パトリックの後見人として、故郷マンチェスターで暮らすこと。
パトリックが子供の頃は、リーがボートで海に連れて行って釣りを教えたり、それはもういい関係だったわけですが、その彼も今や16歳。
ぱっと見ると、父親の死を悲しんでいるように見えないのです。
お父さんが亡くなった日に友達呼んで騒いだり、お気楽そうにバンドに興じたり、二股かけて女の子といちゃいちゃしたり。
大切な人を失くすという同じ体験をしているのに、二人は噛み合わないまま、寄り添うことができない。
対照的な二人を見ていると、悲しみに向き合う方法は色々なんだなと思わせられます。パトリックの享楽的なふるまいは、若さとか性格とかもあるけれど、おそらく悲しみから身を守る防御で。
リーがそうしない、できないのは、罪悪感ってやつでしょう。
そこに、リーがマンチェスターで暮らすことができない、理由があります。
この過去の出来事が起きる前のリーは、大勢の友人に囲まれる、全く屈託のない陽気な人物で、同一人別なの?といぶかってしまう程。この落差に、リー役の俳優、ケイシー・アフレック、すげえっと唸ってしまうのです。
自分を痛めつけるようにして生きる理由が、もう切なくて。この美しい海辺の街にいること自体が、毎瞬痛みを喚起することなわけです。
その絶望の理由が何なのかは、是非本編を観てほしいと思います。
ここからは、ラストに関わることなので、読みたくない方はスルーでどうぞ。
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で、言ってしまうと、最後まで劇的なことも起こらないし、自分が招いてしまった悲劇的な出来事にどう向き合っていくかという明確な答えも示されません。
結局、リーはマンチェスターで暮らすことができません。
ただラストに起きる、冬の薄日がほんのちょっとだけ差すような、あるかなきかの兆し。だからこそ、リアルで嘘がないなぁと思ってしまうのです。
そしてでも、あるかなきかの兆しは、壮絶な体験を経たリーからすれば、それはものすごいことなんだとも思います。
いい映画だなぁと思って観てましたが、一緒に観ていたダンナの評価は真っ向違ってて、「何、これ。映画館で観てたら金返せってレベル」とか文句言ってました。会社から帰ってきて、途中から観始めたということを割り引いても、そりゃないよという感想。
ダンナは、どストレートな人で、人情家。バッドエンドも基本好きじゃないし、明確な答えがないっていうのは、あり得ないってことのようで。多分、リーが少しも救われないことが、ダンナには許せないこと。
マンガでも映画でも小説でも、何かを体験するって、実はものすごく個人的なことだと思うのです。もしかしたら、人生の意味づけなんてものも、そうかもしれないけど。
それまで生きてきた経験とか、持って生まれた性格とか考え方とか、そういう諸々のフィルターを通して、物事を捉えるわけで、それってみんな一様じゃなくて。
現実そのものじゃなくて、自分を通して見た一つの世界なんだろうと。
だから、ダンナの言っていることも、一つの捉え方で、「ふうん、この人はこう考えるのね」って面白いわけです。そこに正解とか不正解とかはない。
そういや、死んだばあちゃんも、血のつながりはないけど、ダンナと似たとこあったな。
凡子が若い頃、微炭酸の炭酸飲料というのが初めて発売されて(今も、微炭酸って呼ぶのか??)、それまではサイダーとかコカコーラみたいな炭酸の強いのしかなかったので、結構画期的でした。
凡子は、炭酸のきついのがダメで、わざと気を抜いて砂糖水のようにして飲むのが好きなので、微炭酸飲料を「わ~最高」って飲んでましたが、ばあちゃんは、「こだもの、金出して飲むようなもんじゃない」とか言っていたものなぁ。
今思うと、ばあちゃんもストレートな人情家だった。
人って、物事がはっきりしているのがいいっていう人と、それは刺激が強すぎるから、あるかなきかの地味な方がいい、って人にわかれると思うんです。
どっちがいいとかじゃなく、好みの問題。
あっ、何か話が思い切りずれまくってますが、そういう微炭酸好きの人におすすめな映画です(違います)。